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入試制度について
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目次

・「総合型選抜」「学校推薦型選抜」と「一般選抜」
1. 総合型選抜 
2. 学校推薦型選抜
3. 一般選抜
・高大接続改革(教育改革)と「学力の3要素」
・スケジュール
・「総合型選抜」「学校推薦型選抜」への対策
1. 出願書類
2. 小論文
3. 面接
4. 活動実績/資格取得
・Q&A

「総合型選抜」
「学校推薦型選抜」

「一般選抜」

入試と言えば「教科学力のみで勝負する一般選抜」が一般的なイメージでしたが、東京大学・京都大学をはじめとする国立最難関大学でも実施され、私立大学ではこの2方式を合わせた合格者数が全定員の過半数を超えている(右グラフ)など、「総合型選抜」「学校推薦型選抜」は今や重要な入試形式となりました。

特に志望校への現役合格を目指す受験生は、教科学力を評価する「一般選抜」と同様、合格の可能性を増やすために総合型選抜・学校推薦型選抜の受験も検討することが望ましいと言えます。

2018年度 私立大学 試験区分別入学状況

入試形式 総合型選抜
特徴 入学者枠に制限なし。
今までの活動実績や志望熱意が重要。
基礎学力も審査される。
入試形式 学校推薦型選抜
特徴 入学者枠が「定員の50%まで」という制約がある。
学校長の推薦書の提出が必須。
学校成績(評定平均)も重要。
入試形式 一般選抜
特徴 合格者定員の厳格化に伴い、著しく難化。
大学によっては、志望理由書やポートフォリオ(活動実績報告書)の提出が求められる。
入試形式 特徴
総合型選抜 入学者枠に制限なし。
今までの活動実績や志望熱意が重要。
基礎学力も審査される。
学校推薦型選抜 入学者枠が「定員の50%まで」という制約がある。
学校長の推薦書の提出が必須。
学校成績(評定平均)も重要。
一般選抜 合格者定員の厳格化に伴い、著しく難化。
大学によっては、志望理由書やポートフォリオ(活動実績報告書)の提出が求められる。
総合型選抜

以前は「AO入試」と呼ばれていた方式で、大学の入学管理局(Admissions Office)が掲げる「求める学生像・基準(アドミッション・ポリシー)」に合致した受験生を選抜します。「自己推薦入試」という名称で行われていた方式も総合型選抜にあたります。

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受験生には、大学卒業後も見据えた目標である「将来のビジョン」と、そのビジョンに向けた「継続的な活動経験(≒活動実績)」が強く求められます。それらに加え、「個性」「(学部学科や仕事に対する)適性」「熱意」などを総合的に加味して合否を決定します。

時間をかけて受験生を評価するため、5月頃から「(出願ではない)エントリー」を受け付けて出願前面談を実施したり、オープンキャンパスへの参加を出願要件としたりする大学も少なくありません。

受験生は、評定平均値・資格・活動実績などの大学が指定する出願要件をクリアしていれば自由に応募可能。選考は書類・面接・小論文での試験を中心に、大学によって教科試験やプレゼンテーション、グループディスカッションなどが課されることもあります。

加えて、『調査書等の出願書類だけでなく、(1)各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)、もしくは(2)「大学入学共通テスト」の少なくともいずれか一つの活用』として「学力」の評価が必須化されていますので、募集要項は大学ごとにチェックする必要があります。

学校推薦型選抜

学校推薦型選抜

以前は「推薦入試」と呼ばれていた方式で、学校長の推薦を得て出願してきた受験生から選抜します。推薦を得るためには、大学側が設定した基準を満たしている必要があります。また、高校側の「基準を満たしているこの生徒を推薦します」という信用に基づいて出願するため、原則的には「専願(合格したら必ずその大学に進学する)」となります。

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大きく、大学が設定した成績基準(評定平均値)をクリアしている場合にのみ応募できる「公募制」と、大学から特定の高校に与えられた「指定校枠」に対して校内選抜を通過することが必要な「指定校」の2つに分かれます。いずれにおいても出願要件で基本となるのは、高校1年~高校3年1学期(2期制の場合は前期)までの学業成績に基づく「評定平均値」。全教科の評定平均を指定するところが多いですが、学部・学科によっては特定の教科の評定平均を求めることもあります。その他、「指定教科の履修」「外国語検定試験の級・スコア」「課外活動での実績」を指定するところもあります。選考は書類・面接・小論文での試験を中心に、大学・学部によって個別試験やプレゼンテーションなどが課されることもあり、教科学力を問われることも少なくありません。

加えて、総合型選抜と同様に『調査書等の出願書類だけでなく、(1)各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)、もしくは(2)「大学入学共通テスト」の少なくともいずれか一つの活用』として「学力」の評価が必須化されるとともに、『推薦書において(1)本人の学習歴や活動歴を踏まえた「学力の3要素」に関する評価を記載すること、及び(2)大学が選抜でこれらを活用することのどちらも必須化』されており、総合型選抜よりも評価における学力の占める割合が高いと言えます。

学校推薦型選抜

一般選抜

基本的にはこれまでと同じく教科学力(知識・技能)を問う入試ですが、教育改革により、『筆記試験に加え、調査書や志願者本人が記載する資料等(例:その他、エッセイ、面接、ディベート、集団討論、プレゼンテーション、各種大会や顕彰等の記録、総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果等に関する資料や面談など。)の積極的な活用に努める』とされています。つまり、今までのように「学校の勉強を真面目にやって教科学力を高めていればOK」というわけにはいきません。総合型選抜・学校推薦型選抜の受験生と同じく、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を高めていかないと、ボーダーラインに立った際に評価を分ける結果となる場合があります。

一般選抜

「学力の3要素」「学力の3要素」

「グローバル化の拡大」「人工知能(AI)などの技術革新」「少子高齢化による労働人口の減少」など、世界は変化が激しい時代を迎えており、今後の社会を予測することは非常に困難になっています。そんな「予測不能な未来」に対応するべく、文部科学省は「予見の困難な時代の中で新たな価値を創造していく力を育てることが必要」として、社会で自立的に活動していくための「学力の3要素」を定義しました。

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これらの3つの力を、高校教育で育成し、大学入試において多面的・総合的に評価、大学教育でさらに向上させるという教育改革が2020年に行われました。

この教育改革では、これまで「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」を問わない性格のものと受け取られていた「AO入試(総合型選抜)」「推薦入試(学校推薦型選抜)」でも、これらの3要素の「学力」を評価できるようにする一方、「知識・技能」の確認に偏っていた「一般入試(一般選抜)」でも「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」を評価できるような改善が行われることになりました。

スケジュール

「学力の3要素」を多面的・総合的に評価するために必要な期間を考慮し、総合型選抜では出願が9月以降に、合格発表は11月以降に行われます。また、学校推薦型選抜では出願は11月以降に、合格発表は12月以降に行われます。

スケジュール

スケジュール

「学力の3要素」を多面的・総合的に評価するために必要な期間を考慮し、これまでの「AO入試」「推薦入試」でのスケジュールから出願・合格発表の時期が変更されます。

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「総合型選抜」では出願が「8月以降」から「9月以降」に、合格発表は「設定なし」から「11月以降」に変わります。また、「学校推薦型選抜」では出願は現行通り「11月以降」ですが、合格発表は「設定なし」から「12月以降」へと変わります。

スケジュール

「総合型選抜」
「学校推薦型選抜」
への対策

どちらの選抜方法でも、受験生の志望動機や活動実績、思考力・判断力・表現力などを、出願書類や面接、各種課題で評価します。特に、自身の経験から生まれた「明確な目標」を伝えられるかが最も重要です。対策としては、「自分の将来のビジョン」を定め、そのビジョンに向けた「今からできる行動(学び)」をすることが必要でしょう。

そのため、すでに「将来こういうことをやりたい」「そのために継続的に活動をしてきた・実績を出してきた」という人は総合型選抜での受験に向いていると言えます。また、高校時代の学業成績や活動実績などが充実している受験生は、学校推薦型選抜での出願も検討してみましょう。

出願書類

出願書類

出願書類の主なものとして、「志望理由書」「自己推薦書」「活動報告書」などが挙げられます。これらは、志望校やビジョンへの熱意と、独自性たる人間的魅力を理解してもらうツールです。そのため、まずは自分と大学に関する情報収集が必要です。

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受験生の多くは、他の高校生とは異なる自分の強みや魅力を言うことができません。どんな些細なことでも構わないので、自分の経験を事細かにノートへ記載するなどして、言語化する作業が必要となります。

しかし、そもそも自身の経験から得た学びや情報がなければ、将来のビジョンに説得力も生まれず、凡庸な書類になってしまいます。そこで、主体的な学習やフィールドワーク(実地学習)も欠かせません。

加えて、大学のカリキュラムをはじめ、建学の精神、教授個々の研究分野や論文内容までの情報収集が、大学への熱意を証明する助けとなります。他の大学との違いを理解し話せなければ、志望大学へ熱意があるとは見なされません。第一志望校だけではなく、同じような学問を扱っている他の大学に関しても調べて、比較することで各大学の独自性を理解しましょう。その手段としてオープンキャンパスや大学説明会を利用してもよいでしょう。参加する際は、事前に大学や学部・学科のHPは熟読し、最低10項目は質問内容を考えておきましょう。

小論文

小論文

小論文の試験では、限られた時間で作者・出題者の意図を読み取り、自分なりの主張を根拠とともに示す必要があります。これは、論理的に他者と対話するコミュニケーション能力に通じる能力であり、その生徒の論理性や表現力が評価されます。当然、ただ闇雲に過去問を解けば伸びるという能力ではありません。読解力・要約力は、しかるべき指導者から客観的な視点で添削指導を受けることで育むことができます。

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しかし、それ以上に大切なことは、自身の「主張」を「客観的な根拠」に基づいて述べる力です。「客観的な根拠」を示せない受験生は、論理的に説得力を持つ主張を思い浮かべることができず、苦労することになります。しかし、読書やフィールドワークなどの情報収集により、現代社会に関する知識や教養を獲得すると、それが主張を裏付ける根拠となります。つまり、小論文だけ独立して対策するのではなく、他の対策と連動させて学習することが効果的なのです。

面接

面接

面接は、「出願書類を受験生自身が作成した」ということを確認する作業であるとともに、対人で人間的魅力を直接アピールできる場です。

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当日は、経験から培った人間力をよりよく表現しなければなりません。行うべき対策としては、想定される問いに対する回答を考えておくこととともに、模擬面接で回答態度はもちろん、想定外の質問への反応も確認してもらうことです。大人に指摘されると上手く説明できない人は、日常から高校の先生以外の大人と話す機会を持つなどの対策が必要です。大人と話す機会が無いという人も、フィールドワークを通じて、大人と話すにふさわしい話し方や考え方を鍛えることができます。

活動実績 / 資格取得

活動実績 / 資格取得

書類や面接で表面化する人間的魅力は、それまで行ってきた活動の中で培われます。

校内で行う活動としては、部活動や生徒会活動に加え、ボランティアや特別プログラム、留学などが挙げられます。これらの活動にただ参加するだけでなく、他者に説明できる役割や成果を意識すると、自分の成長や強みを発見できます。

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校外で行う活動としては、将来のビジョンに関する学術分野のイベントや論文/エッセイコンテストへの参加、有識者や機関への取材などのフィールドワークが行えます。

最初は、社会経験の豊かな大人がサポートする必要があるかもしれませんが、最終的には生徒自身が主体的に行動することで、人間的に大きな成長が得られます。

加えて教育改革後の総合型選抜・学校推薦型選抜では、最低限の学力を証明する資格取得は必須と言っても過言ではありません。特に難関大学を中心に、英語を基本とした外国語検定の取得スコア・級を出願要件としている大学が目立ちます。他にアピールできる能力(部活動における全国レベルでの実績や顕著な芸能活動等)があれば別ですが、基本的に「英語が苦手」は通用しないと考えておくと良いでしょう。出願書類提出までに、最低でも英検🄬2級は取得した状態(理想は英検🄬2級A~準1級)で臨めるように学習計画を立てましょう。

Q&A

総合型・学校推薦型選抜で入学した学生は、入学後に苦労したり就職活動で不利になったりすると聞きました…。大丈夫でしょうか?
A.

確かに、大学での学びについていく教科学力が必要で、一般入試がその評価を行うのに適していることは事実です。

しかし、その評価はあくまでも「入試日時点での教科学力」のみであり、その学力も「高校での授業で一方的に教えられたもの」であることがほとんどです。実際に大学に入ってからの学びは、「教科の枠を超えた学問」に対し「自分で興味があることを選んで研究」する学びです。卒業時には卒業論文・研究の提出が求められますが、そこで取り上げるテーマは与えられるものではなく、自分で決めるもの。つまり、大学での学びは「課題意識を持って能動的に研究していく」必要があるのです。

総合型選抜・学校推薦型選抜で評価されるのは、教科学力(知識・技能)を有していることを前提として、この課題意識に対して「思考力・判断力・表現力」を使って「主体性・多様性・協働性」を発揮しながら取り組む力です。

実際、既に「学力重視型AO入試」を実施してきた東北大学では、入学者の追跡調査を行った結果、一般入試での入学者よりもAO入試での入学者のほうが学業も優れ、退学者も少ない傾向にあると発表しています。(→参照:追跡調査に基づく東北大学AO入試の評価

総合型・学校推薦型選抜は、大学が早期に入学者を確保することが目的だと聞きました…。入学まで時間があり、だらけてしまうことも心配です。大丈夫でしょうか?
A.

一般選抜とは異なり、総合型選抜・学校推薦型選抜の入試では「正解」がありません。受験生をしっかり評価するためには、一人ひとりに時間をかけて試験を行わなければならないため、一般選抜と同時期に複数の方式の入試を実施するのは難しいという事情があるとは思います。

確かにかつてのAO・推薦入試には「入学者の早期確保のために学力を問わずに合格を出している」という批判もありました。しかし2020年の教育改革により、出願・合格発表時期を後ろ倒しし、且つ学力評価を必須化することで、「青田刈り」と「合格から入学までの期間の長さ」を回避する措置がとられました。

また、合格した受験生の学習意欲を継続させる観点から、「特に12月以前の入学手続き者には入学前教育を積極的に行う」「高校は大学と連携し学習意欲継続に必要な指導を行う」「学校推薦型選抜合格者には高校の指導により大学と連携した取り組みを行う(学習計画とその取り組み状況を大学に報告させるなど)」等の取り組みが促進されます。

現在、私立大学では一定以上の比率で定員以上の合格者を出した場合、国からの補助金が受け取れないという規制があります。そのため、「合格しても入学しない」受験生が多い可能性のある一般選抜ではなく、「第一志望(=専願)」とする受験生を確保できる総合型選抜・学校推薦型選抜の定員枠を増やす大学が増えています。今後、倍率・難易度が高くなる一般選抜だけを狙うのは、特に都市圏の大学を考える受験生にとっては必ずしも得策ではありません。

志望校が決まっていないのですが、それでも今から対策したほうがいいですか?
A.

早期対策を強くお勧めします。そのメリットは大きく3点あります。

まず、「総合型選抜・学校推薦型選抜の対策は無駄になることがない」という点です。ここで養うコミュニケーション能力や文章作成能力・表現力は、大学入学後や就職活動時でも必須の力です。事実、当校の卒業生も、多くが大学入学後に周囲の学生を牽引する存在になり、就職活動でも高い成果を出しています。

次に、皆さんが一人ひとりの長所やビジョンに最も適した志望校を早期に確定させることで、「大学側が求める人材に近づくことができる」ということがあります。また、大学研究や自身の将来像を考えることで、勉強をする目的も明確になります。

最後は、「対策スケジュール」におけるメリットです。特に高校1・2年生のうちから準備を始められれば、入試直前に集中的に対策する必要がなくなり、一般選抜や高校イベントで多忙になる高校3年生時にも無理のないスケジュールで対策することができます。当然、他の受験生と比べて充実した活動を行うことができ、実績を積むことが可能になります。

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